バイオリンの弦のおすすめと選び方、弦のレビュー11選+α

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楽器・弓・弦・メンテナンス

バイオリンの弦の選び方が簡単ではない理由

バイオリンの弦は、なかなか奥深い話になります。
その理由ですが、実はバイオリンによって合う弦が違うのです。

自分のバイオリンだけでは判断が難しい、ということですね。
私は複数のバイオリンを所持しており、(エレキバイオリンやエレアコバイオリンも含む)
一方で良いと思った弦を他の楽器に張っても、思ったような効果が出ないことに気づきました。

例えば、楽器によりますが、E線はよく鳴るのに、G線やD線があまり鳴らない、またはその逆、というケースや、元々の音色が非常に明るかったり暗かったりする場合があります。
調整で多少変わったりもしますが、それはその楽器の特徴になります。

その楽器の特徴を生かした弦を張るのが正解、となります。
例えば、私の場合ですが、音が少しこもり気味で、低弦(G・D)はよく鳴るのに、A線やE線の鳴りが弱い楽器がありました。

フレクソコア(Flexocor)という弦はG線もペラペラで、G線なのに重厚な音が鳴らないのですが、それを張ったところ、全体のバランスが均一に近くなり、格段に弾きやすくなりました。

そのため、ここに弦の使用感やお勧めを載せていきますが、実際に自分の楽器に張ってみないと、相性は分からない、というのが本当のところです。
レビューなどは参考にして選ぶと良いと思います。

バイオリンの弦の種類と素材・材質と寿命

ガット弦

まず、弦は主にガット弦(腸から作る)、ナイロン弦、スチール弦と3種類あります。
ガット弦が一番高価で、音も素晴らしいけど、音程が安定しにくく、一週間ほどかかる場合もあり、当たり外れがあります。
寿命は3ヶ月前後でしょうか。昔からある弦です。
切れやすい場合もあり、昔はそのために調弦のヘルツが低く設定されていました。

ナイロン弦

ナイロン弦は現在主流で、音程も2~3日で安定します。
寿命は1~3ヶ月程で、ガット弦より短いですが、その分安いです。
いろいろ使いましたが、ナイロン弦から選んでおくのが一番良いと思います。

スチール弦

スチール弦は一番安いです。でも音質はそれほど良くないです。
この場合の音質とは、音色の変化をつけにくい、という意味です。
決して音が悪い、という意味ではないです。


音程はすぐに安定して狂いにくく、しかも寿命が長いため、
あまり費用をかけたくない場合や、練習用には悪くない選択肢だと思います。
ただし、クラシック音楽でプロが使うには音色の表現の狭さがネックになると思われます。
寿命は半年くらい使えると思います。(音色が気に入らず、音が変わるまで使い込んでいません)

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弦の交換時期

ちなみに各弦に書いている寿命はおそらく一般的なプロの場合の話になります。
プロでもソリストの方だと、毎月弦を変える方もいます。
逆に金欠で半年近く変えないプロもいますので、なんとも一概には言えません。

ただ、弦が古くなってくると、すぐに音程が狂うようになってきたりしますし、
そもそも5度の音程やハイポジションの音程などがハモらなくなってきます。

また、E線は多用するため、早い人だと一週間に一度替える方もいます。

弦は全部一度に変える方も多いと思いますが、一本だけ変えたことによって、全体の鳴りが良くなる場合もあります。
使用頻度の高いE線やA線を低弦よりも頻繁に替える方もいるのです。

バイオリン弦のおすすめの名前と使用感レビュー

ボールループ ボールエンド ループエンド (今回の比較製品:1.スチール製ヘリコア、2.ナイロン製ドミナント、3.ナイロン製インフェルド、4.ナイロン製ヴィオリーノ、5.ガット製オリーブ)

1.ヘリコア(helicore)、ザイエックス(Zyex)

この弦はビオラ奏者ならよく使われていますね。
楽器との相性でかなり違うらしいです。
スチール製です。

私は2台に張ってみましたが、押さえやすい印象です。
私の楽器に張った印象は・・・パワーは少なめ(強く弾いてもあまり応えてくれない印象)、
でしたが、音程はすぐに安定しました。


音質は楽器によっては違うのかもしれませんが、やはり音色の変化をつけようと思っても、いまいち出したい音は出ない印象でした。
音色も少し暗めですね。

しかし、レスポンスや弾きやすさ、押さえやすさは評判通り悪くない印象。
アリだと思います。少なくともドミナントを半年以上張ってるくらいなら、こちらのが良いのかも、と思いました。
張りっぱなしでも劣化が少なく、レッスンに来ない間も調弦が狂わず、かつ安いので悪くないと思います。

ダダリオ社のスチール弦は上記の通り、押さえやすいが、音色の変化はつきにくく、暗い音色です。エレキバイオリンには良いかもしれません。

他にもトニカ、というスチール弦も使ったことがありますが、やはり音色の表現の幅の狭さがネックでした。

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2.ドミナント(Dominant)

Thomastik社のナイロン製の代表格です。

この商品は昔からあり、現在でもかなり主力製品というか、世界でも利用しているユーザーがかなり多いものです。
ストラディバリウスなどの名器には、 ガット弦のイメージがしますが、意外とこれを張ってある場合が多い印象です。

寿命は短いのですが、強い音も出るし、音色も変化がつけやすいです。
ただし、張ったばかりの時は少しザラザラした音がして、金属音のような音が混ざります。
音程はだいたい3日くらいで安定する印象。

いい弦ですが、1~3ヶ月おきに変えないと、かえって押さえにくかったり、
音がハッキリ出なくなったりするので、それが出来る場合には良いと思います。
上記のヘリコアより明るい音色です。

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3.インフェルド レッド(Infeld red)、ブルー(Infeld blue)

これは上記のドミナントと同じ会社で、製品としてはかなり似ています。
ナイロン製です。
ただ、僕の印象ではこちらのが音色が明るく、 パワーもあり 華やかな印象です。

特徴や寿命もほぼ同じです。
僕はドミナントよりもこちらのが好きです。
楽器の鳴りが悪い人には試してもらいたい弦です。

私が愛用しているのはレッドです。ブルーはレッドほど華やかではありません。
楽器がキンキン鳴ってしまうタイプならブルーのが合うでしょう。

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4.ビオリーノ(Violino)

これはPirastro社のナイロン製弦です。

同社の「オブリガード」という製品の普及版でしょうか。
元々は学生のための弦、という位置付けのようです。
上記の3つの弦よりも値段は高いです。
音程の安定、という意味ではドミナントなどよりも時間のかかる印象。

この弦はしかし、ドミナントやインフェルドよりも寿命が若干長いような印象です。
何度も使っていますが、平均3ヶ月近くは普通に使えました。

音の印象としては、柔らかい音を出すのに向いています。
よく鳴る楽器の人にはお奨めです。
また、高音もかなり明瞭に綺麗な発音が可能な弦です。
ですが、強い音を弾こうと圧力をかけると、音が潰れてしまいます。

そのため、右手に力が入ってしまう人が勉強用に使用するのも良いでしょう。
右手が脱力している人はより良い音が鳴ると思います。
ただ、逆に強い音を出すのは向いていないので、激しい曲を弾くのは向いていないかもしれません。

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5.オブリガート(Obligato)

Pirastro社のナイロン製。

ビオリーノと同じイメージで購入して使ってみたんですが、
こちらはビオリーノほど、繊細な音のみではなく、全域において普通に鳴る、というイメージでした。

音は金属的な響きなどはなく、柔らかめのマイルドで、個性的な音ではない印象です。
でもどちらかといえば、ビオリーノ同様、エッジの利いた音を鳴らすというよりも滑らかな音のが向いていると思います。

オーケストラや室内楽には馴染みやすいのではないでしょうか。
私が使用した感じでは3ヶ月も持たないです。
1ヶ月ほどで音の劣化を感じました。

同社のエヴァ・ピラッツィが出るまではこれがオリーブの次くらいに良いと思われていた弦でした。そのため、値段は高めです。

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6.オリーブ(Oliv)

これは一番高価な弦でガット弦です。
普段の練習用に張る必要はないと思いますが、試してみるのはいいでしょう。
張ると、きっと上手になった気になれると思います。

というのも、倍音の鳴りが全然違うため、上記の弦に比べて
別の楽器を弾いているくらいの差を感じると思います。
音色が柔らかく、音色の変化もしっかりと出てくれ、力強さにも対応してくれます。

私はこの弦を多用している時期もありましたが、現在では値段が高い事と、上記の弦などに比べ、不安定であることから使用していません。(切れやすい、音程が安定しにくい)

音程は安定するのに最低一週間。その後もよく狂います。
厳密には1曲弾く度に調弦する感覚ですね。

同社には他にもガット弦でパッシオーネ、オイドクサがあります。
どちらも使いましたが、オリーブの劣化版という印象しかありませんでした。
それならオリーブを使うか、他のナイロン弦のが良いように思います。

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7.ヴィジョン(Vision)、 ヴィジョンチタニウム(Vision Titunium)

ヴィジョンはドミナントの劣化・安価バージョンです。
明るい音で、すぐに音程が安定しました。
Thomastik社のナイロン弦です。

音の立ち上がりは早いものの、どこか音が細い印象でした。
音の劣化も2週間過ぎたくらいから感じましたが、
なんといっても安く、悪くない選択肢だと思います。

ヴィジョンチタニウム、こちらのが普通に使える印象です。
しかし、やはり少し細い印象。
ドミナントよりも軽やかなイメージです。
こちらも一ヶ月くらいが寿命でしょうか。

いずれにせよ、私ならこれを使うならドミナントのが良いと思います。
理由は音色の細い印象と、劣化した際に急激に音が悪くなるからです。

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8.ラーセン(Larsen)、ラーセンツィガーヌ(Larsen Tzigane)

Larsen社のナイロン弦。
包み紙がちゃんと密閉されており、長期保有する場合に安心感があります。

音は最初の鳴りの良さは素晴らしいと思いました。
やはり2週間も経たないうちに音はマイルドになってきますが、
私が使ってみた印象では、いろいろな場面で使いやすい弦で、メインとして活躍できる弦です。

寿命はやはりハードに使った場合には一ヶ月くらいで音の劣化を感じます。
無理しても2~3ヶ月というところでしょうか。

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9.フレクソコア(Flexocor)

Pirastro社のナイロン弦です。

これはD線もG線もフニャフニャで、細く、初めて張った時は不安になったものでした。
ところがこの弦、スピッカートが非常にやりやすいのです。

他にもスピッカートをやりやすい弦として、ラカトシュなどが良いと聞いて使ったことがありますが、こちらのが断然やりやすいです。

もちろん、どの弦を使ってもスピッカートは使うわけですが、この弦は音の粒というか明瞭に聴こえるように思いますし、ジプシーバイオリンや速弾きにも向いている弦だと思います。

また冒頭に書いた通り、低弦が弱めなので、低弦がよく鳴る楽器との組み合わせは良い結果を生むと思います。

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10.エヴァ ピラッツイ(Evah Pirazzi)

Pirastro社のナイロン弦。

値段は高い弦ですが、今やスタンダードなのか、というほど普及している弦です。
高い張力できらびやかな音色、力強い演奏にも十分に応えてくれる弦です。

同社のオブリガートに比べて派手でキレのある音色です。

私も何度も使っていますが、私のメイン楽器にはラーセンのが合うらしく、今ではラーセンがメインになっています。

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11.ゴールドブラカット(Goldbrokat)

E線のみですが、この弦を紹介しないことには終われません。

Lenzner社のスチール弦で、E線のみ。
1本200~300円前後ですが、これで十分、という奏者は多いです。

太さも選ぶことができ、0.25~0.28までを選ぶことができます。
太ければその分太い音がしますし、好みで選ぶと良いでしょう。

ボールエンドタイプとループエンドタイプがあり、自分の楽器についているアジャスターを見て選ぶと良いです。
分からない方はどちらでも大丈夫です。
自分でボールを外せばループエンドにも付けられるし、ループエンドタイプをボールタイプのアジャスターに取り付けることもできます。

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12.その他の弦

私が子供の頃にはドミナントとオリーブの二択くらいだったのですが、今では非常に多くの弦があり、かえって迷ってしまうと思います。

数十年やってきているので、他にも「ワーチャル ブリリアント(Warchal Brilliant)」や「コレルリ クリスタル(Corelli Crystal)」、「シノクサ(Synoxa)」、「ラカトシュ(LAKATOS)」、「ヤーガー(Jargar)」、「エヴァ・ピラッツイ・ゴールド(Evah Pirazzi Gold)」、「ピーターインフェルド(Peter Infeld)」なども使ったことがあります。

ただ、一度~数回しか使ってないような弦や、他との比較を考えて使っていなかった弦は印象が薄く、あまり詳しく特徴を説明できないため、今回はパスしました。

私は弦マニアではないので、基本的には気に入った弦をずっとリピートします。
たまに試供品をいただいたり、買ってみて良いかな、となると数回リピートしてからまた前の弦を張ってみて…といった具合です。
私個人の印象のため、参考程度にどうぞ。

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